かつてグエン王朝の都が置かれた中部の古都フエ。ここはベトナムでも随一の美食の街としても知られ、名物料理がとても多い。その中でもフォン川で獲れるシジミを使ったコムヘンと呼ばれるシジミごはんは、朝食として庶民に愛されている一品。日本人にも馴染みやすい味でファンが多い。コムヘンはご飯の上にシジミ、バナナの花のつぼみや香草、胡麻、唐辛子、ピーナッツ、揚げた豚の皮をのせて、シジミの蒸し汁スープをかけて食べる。小ぶりなサイズでお茶漬けのようにサラサラ食べられ、ついおかわりしたくなってしまう。さらにアミの発酵調味料「マムルォック」を加えるとより味わい深くなる。
フォン川の小さな中州の島コンヘンはシジミ漁が盛んで、シジミを蒸してだし汁と一緒に周辺の店に卸している。ダップダー橋の周りにはコムヘン屋さんがたくさんあるので、ぜひ食べてみてほしい。衛生的に気になる人は、レストランでも提供しているところもあるので聞いてみよう。雨季(10月~1月)はしじみの代わりにあさりになる店もあるけれど、それはそれで美味しい。大切なのはしっかりダシがきいたスープだ。