ダナンから車で約2時間、ベトナム最後の王朝「阮朝」が築かれた古都フエは、多くの歴史的建造物が世界遺産に登録されている風情ある街。王朝時代に開花した豪華絢爛な料理や伝統音楽など、宮廷文化を今に伝えています。また王宮で飲まれていた薬膳茶を作っている茶屋も残っています。歴代皇帝の陵墓が点在する静かな田園地帯に立つ茶藝店では、当時とほぼ同じ製法で作られたお茶がいただけます。
美肌効果が期待できると皇后や宮中の女性たちが好んで飲んでいたという、菊、竜眼、レモン、麦芽、枸杞の実などが入る「貴妃茶」は柔らかな甘み。蓮茶は5〜7月にかけて咲く蓮の花の蕾に茶葉を閉じ込めて香りを移し、その茶葉をまた新しい蕾に入れてさらに香りを移す。これを5回繰り返して完成するという大変な手間と暇がかかるお茶。口に含むと濃厚な甘い香りとは裏腹にすごく渋い! でも不思議と汗が引き、杯を重ねるごとに香りは爽やかに苦味渋みも落ち着きます。
屋外の座敷で鳥の声を聞きながら、ゆっくりお茶を飲む時間もまた、旅の素敵な思い出になるでしょう。帰り際、美肌茶をたっぷり買い込んだのは、いうまでもございません。